AIと意思決定THE JOURNAL — 029

AIに頼りすぎない勉強法は?
ChatGPTを使っても力がつく、学生のための使い方

答えを聞く前に、自分の止まったところを知る。

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この記事の目次

ChatGPTに聞けば、宿題の答えはすぐに出る。でも、テストの日には自分の頭しかない。AIを使うと勉強ははかどるのに、身についている気がしない。学生がAIを使いながら力をつけるために、研究で分かっていることと、今日から変えられる使い方の順番をまとめました。

AIで練習がはかどっても、力がつくとは限らない

2025年にPNASに掲載された研究では、1,000人近くの高校生が数学の演習でGPT-4を使いました。ふつうのChatGPTに近い画面を使った生徒は、演習中の成績が上がりました。ところが、AIなしで受けたテストでは、AIを使わなかった生徒より成績が下がりました。研究チームは、生徒がAIを答えを出してもらう「杖」として使っていたことを理由に挙げています。

一方、答えをそのまま示さず、手がかりを出すように設計したAIを使った生徒では、この悪い影響がおおむね抑えられていました。AIを使うかどうかより、どう使うかで結果が変わるということです。

この研究を手がかりに、編集部では、AIを「答えを出す道具」から「考えるのを手伝う道具」に変える順番を提案します。

まず自分で解いてから、AIに聞く

いちばん大きな違いは、AIに聞くタイミングです。問題を見てすぐに聞くと、考える前に答えが目に入ります。先に自分で解いてみて、どこで止まったかが分かってから聞くと、AIの説明が自分の分からないところにつながります。

止まったところは、紙に1行書いておきます。「二次方程式の解の公式の、ルートの中が分からない」のように具体的に書けると、AIへの質問もそのまま短くなります。

紙は、問題ごとに一枚使って切り離せるメモパッドが便利です。ロディア No.16はA5のメモパッドで、方眼に式や図を書いて、解き終わったら机から片づけられます。

紙に書いてからAIを開く使い方は、AIを開く前に紙へ1行書くでも紹介しています。

答えではなく、手がかりを聞く

AIへの頼み方を変えるだけでも、使い方は変わります。たとえば、次のように頼みます。

  • 「答えは言わずに、次に考えるべきことを一つだけ教えて」
  • 「私の解き方のどこが間違っているか、場所だけ教えて」
  • 「この単元の考え方を、例題を使わずに説明して」

ChatGPTには、答えをすぐに示さず、問いかけながら一緒に考える学習用のモードもあります。メッセージ欄のツールから選べます。表示や手順はアプリのバージョンによって変わることがあるので、OpenAIのヘルプで確かめてください。

AIには、問題を出してもらう

勉強したあとにAIを使うなら、説明してもらうより、問題を出してもらうほうが向いています。

記憶の研究では、教材を読み直すより、思い出すテストを受けたほうが、数日後や1週間後によく覚えていることが分かっています。読み直しは、そのときは覚えた気になりやすい一方で、時間がたつと差がつきました。

ノートや教科書を閉じて、「今日の範囲から一問一答を5問出して。答えはあとで」と頼み、自分で答えてから答え合わせをします。AIが出す問題や答えには間違いもあるので、答え合わせは教科書で確かめます。

AIを使う時間を、先に決める

調べるつもりでAIを開いて、気づくと関係のない質問を続けていることがあります。勉強の時間の中で、AIを使う時間を先に決めておくと、使いすぎを防げます。

たとえば、25分のうち最初の20分は自分で解き、残りの5分だけAIに聞く、という区切り方です。スマホのタイマーを使うと、そのまま通知や別のアプリに手が伸びることがあるので、机に置くタイマーが向いています。ドリテック T-632は、複数の時間を組み合わせるインターバル機能があり、解く時間と聞く時間を同じ順番で回せます。

ほかのタイマーはAIを使う時間を区切るタイマー5選で比べています。

学校のルールを確かめておく

AIを宿題やレポートに使ってよいかは、学校や先生によって違います。文部科学省のガイドラインも、学校で生成AIを使う場面ごとに留意点を示しています。課題の説明や先生の指示で、AIを使ってよい範囲を確かめてから使ってください。

使ってよい課題でも、AIの文章をそのまま出すのではなく、自分で考えた部分と、AIに手伝ってもらった部分を分けておくと、あとで説明を求められたときに困りません。

よくある質問

AIを使わないほうが、力はつきますか?

研究では、答えをそのまま出してもらう使い方で、AIなしのテストの成績が下がりました。一方、手がかりを出すように設計したAIでは、その影響はおおむね抑えられていました。使わないことより、先に自分で考えてから、手がかりを聞く使い方を試してください。

AIの説明を読むと分かった気になります。

読んで分かることと、自分で解けることは違います。説明を読んだあとに、ノートを閉じて同じ問題をもう一度解くか、AIに似た問題を出してもらって確かめてください。

勉強中にスマホでAIを開くと、別のアプリも見てしまいます。

スマホの設定で時間を区切る方法は、ChatGPTの使用時間を制限する方法にまとめています。

参考にした情報

  1. Bastani H, et al. Generative AI without guardrails can harm learning: Evidence from high school mathematics. PNAS. 2025;122(26):e2422633122
  2. Roediger HL, Karpicke JD. Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science. 2006;17(3):249-255
  3. OpenAI Help Center「Study mode」
  4. 文部科学省「生成AIの利用について」(初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0)

文・構成:AI、ほどほどに。編集部。編集方針を読む

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